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がん手術後のむくみ【リンパ浮腫】早期発見のポイント

乳がんや子宮がんを治療した後、手や足にむくみが現れるのがリンパ浮腫です。

悪化すると回復が困難になり、皮膚の変性、歩行困難など重篤な症状が現れるため、早期に発見し進行させないようにセルフケアを続けていく必要があります。

どのようなことに気を付けなければならないのでしょうか。

早く見つけるためのポイントとセルフケアの注意点を押さえておきましょう。

 

(参考)国立がん研究センター『がん治療とリンパ浮腫』

乳がん摘出患者の10%が抱える術後のリンパ浮腫


リンパ浮腫(ふしゅ)は、体内の老廃物や余分な水分を回収・処理するリンパ管がなんらかの理由で傷つき、体がむくんでしまう症状。先天的にリンパ管の働きが弱いものを一次性。後天的にリンパ管が傷ついたものを二次性のリンパ浮腫といいます。このうち、最も多いのががん治療の際にがんが転移したリンパ節を切除することで発症する二次性リンパ浮腫です。


乳がんや子宮がん、卵巣がんなど婦人科系がんの手術後に症状が現れることが多く、乳がんで摘出手術を受けた患者のおよそ10人に1人、子宮がんで摘出手術を受けた患者のおよそ4人に1人が発症するともいわれています。リンパ浮腫は、婦人科系がん後遺症の大きな課題の一つです。


 


リンパ浮腫は、通常の人にも生じるむくみとは特徴が大きく異なります。健康な人でも発生するむくみは主に水分の過剰摂取、塩分過多などによって引き起こされますが、安静にすることで短期間のうちに解消していきます。ところが、リンパ浮腫では安静にしているだけでは病状が進行し続け、重症化すると歩行困難に陥ることもある恐ろしい病気なのです。


 


がんによるリンパ浮腫と聞くと、全身が病的にむくんだり、腕だけがむくんだ状態を想像する人が多いかもしれません。しかし、症状の初期ではほとんどむくみや痛みが現れない上、自分では確認しにくい脇の後ろや、通常のむくみと区別しづらい足のむくみとして現れることも。2期にまで進行すると回復が困難になってしまうので、むくみを見つけたら早めに医療機関に相談することが重要です。


 


リンパ浮腫の進行度


0期(予防が必要な時期)…リンパ管に損傷があり流れが悪くなっているが、明らかなむくみはない


1期…夕方になるとむくむ程度、むくんだ腕や脚を高くして休むとむくみが改善する


皮膚は柔らかく、指で押さえた跡が残る


2期…安静にして腕や脚を高くしてもむくみが改善しない


皮膚が硬くなり、晩期になると指で押さえてもへこみが残りにくくなる


3期…皮膚が硬くなり指で押してもへこまない


いぼ状の皮膚や象皮症などの合併症が出現する


(参考)国立がん研究センター『リンパ浮腫保存的治療基本パス』


手術後は既に要予防期、セルフチェックで早期の発見を

リンパ浮腫の原因は、リンパ管の循環機能が低下し、体の各所に水分や老廃物がたまること。リンパ節を手術で切除した人はリンパ管が損傷を受けるため、2次性リンパ浮腫を発症する確率が高くなります。


手術直後から発症の危険性があり、3年目ぐらいまでに発症することが多いとされています。一方、10年近く経ってからむくみの症状が現れるケースもあり、長期にわたって向き合わなければならない病気です。


疲労や虫刺されなどの皮膚炎など、ちょっとしたことがきっかけとなってむくみを発症するケースもあるため、乳がん、子宮がん、卵巣がんといった婦人科系がんの他、前立腺がん、皮膚がんなどの治療を受けた人は、後遺症としてリンパ浮腫が発症する可能性があることを認識し、発症しても早期に発見できるようにしておくことが大切です


 


見分け方では、皮膚をつまんだり、指で押したりするのが有効です。


リンパ液がたまりむくんでくると、皮膚の厚みが増していきます。この状態で10秒程度指の先で圧迫すると、指の跡が残るようになります。特に左右の手足で皮膚の感覚が違ったり、下着の跡の付きやすさに違いがあったりする場合、むくみである可能性が高まります。


初期にむくみが現れやすい箇所は、二の腕、肘下や下腹部、足の付け根、太もも。その後、徐々に手先や足先へとむくみの範囲が広がっていくことが多いのが特徴です。皮膚のむくみの具合に左右で差があると感じた場合、早めに医療機関に相談するようにしましょう。



早期発見のポイント


リンパ節を切除した付近からむくみが広がることが多い。初期はだるさ、重さ、疲れやすさを感じ、進行すると皮膚の硬化、痛みやしびれを感じることも。乳がんなら、脇の後ろ、背面、肘の上下から始まり手先へ広がっていく。子宮がん、卵巣がんなら、足の付け根、太ももから始まり足先に広がっていく。


〇皮膚がつまめない


〇押すとへこみが残る


〇腕時計や下着の跡が付く


〇腕や足が重く、疲れやすい


〇血管が透けて見えない


手術後からこのような異常があり、左右で違いが見られるなら、リンパ浮腫の可能性あり。


自己流のマッサージ予防はやめて 発症させない正しいケアを

繰り返しになりますが、手足のむくみはリンパの停滞が主な原因です。


そのため、むくみの症状が現れ始める1期以降の治療では「リンパドレナージ」と呼ばれるある種のリンパマッサージが施されます。「リンパマッサージ」と聞くと、エステやマッサージサロンで行われている美容目的のものを想像しがちですが、これと混同して自己流のマッサージを行うことは絶対に避けなければいけません。自己流でマッサージを行うと、かえってリンパ管を傷つけて発症を早めたり、症状を悪化させてしまう恐れがあるためです。リンパドレナージは、美容目的のリンパマッサージとは異なります。医師の指導に基づいて正しい方法で行う必要があるのです。不適切な方法で行うことがないように、予防のケアについても医師に相談した方がいいでしょう。


 


特に蜂窩織炎(ほうかしきえん)(医学的には蜂巣炎という)の症状が現れているときに圧迫しても改善することはなく、むくみが悪化してしまうので注意が必要です。蜂窩織炎は感染症の一種で、細菌がむくんだ部分で繁殖し炎症を起こしてしまう症状です。免疫機能があるリンパの流れが滞っているので細菌の処理ができず、赤熱・圧痛・38度以上の高熱といった激しい上昇が一度に現れます。強い炎症を起こすとさらにむくみリンパ浮腫の発症・悪化を招くため、マッサージや圧迫は禁物です。医療機関を受診するようにしましょう。


 


蜂窩織炎などの炎症を避けるため、虫刺され、かすり傷などで皮膚からの細菌感染を防ぐ必要があります。また、だるさや痛みが出ない程度の運動を続けることで手足のむくみを予防します。このような予防の対処をとりながら、手足をよく観察し、むくみがないかを小まめに確認します。


 


リンパ浮腫の予防


〇スキンケアを行い皮膚の乾燥を避ける


〇皮膚が傷つくのを避ける


注意したい場面:深爪、料理時のやけど、過度の日焼け


〇乳がん治療後は手術した側での注射、点滴を避ける


〇標準体重を保つように心がける


〇就寝時、疲れやむくみを感じるときは腕や足を心臓よりも高くする


〇締め付けの強い下着や腕時計を避ける


〇激しい運動を避ける。急に腕や足を振り回す動作に気を付ける


〇皮膚が赤くはれた場合には患部をタオルに包んだ氷水で冷やし、腕や足を高くする、その後すぐに病院へ


 


最近では在宅療養患者を私選する目的で看護外来を強化する医療機関が増えています。リンパ浮腫でもこうした看護外来を利用することで正しいケアの指導を受けることができます。リンパ浮腫外来などで探してみるといいでしょう。


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